【シェオブ】やさしい馨り

Hasmi/ 3月 4, 2018/ 小説

そう、それはもうジャンキーの一歩手前だった。 何のジャンキーって、包帯に決まってるじゃないか。 白く、清潔でいて、腕を首を脚を胸を覆ってくれる──エタ

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【シェオブ】盲目ゆえ、腐敗

Hasmi/ 3月 4, 2018/ 小説

すべてを塞いでしまおうか。 すべてを消し去ってしまおうか。 ほら、それは簡単なこと。目を閉じて、一秒もしないうちにシャットダウン。 何も見えない何も感

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【シェオブ】捕食者と共犯者

Hasmi/ 3月 4, 2018/ 小説

この雨が止んだら、傘に護られた二人きりの空間が一瞬で消えてしまうのだな、と少年は思い、それを少しばかり悔しく思う自分に失笑を向けた。 大学からの帰り、

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【シェオブ】巻かれる発条

Hasmi/ 3月 4, 2018/ 小説

季節の変わり目は体調をくずしやすい。 気温の変化、重ね着を減らすタイミング。朝方が暖かかったからといって、薄着で出かけると、いとも簡単に風邪をひくのだ

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【シェオブ】フリゴ -frigo-

Hasmi/ 3月 4, 2018/ 小説

目の前で、ベッドに腰掛けたサーフがアイスクリームを掬う。 白いバニラアイスの上へ、カッターナイフで刻んだチョコレートをふりかけた代物だ。 銀色に反射し

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【シェオブ】服従の手

Hasmi/ 3月 4, 2018/ 小説

寒いね、と彼が言ったから手を繋いだ。 ただ、自然にそっと手を差し伸べてそれを見た少年はなにかを確認するように、撫でるように指を絡め手を繋ぎ返した。 人

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【イザシズ】野薔薇の色めく

Hasmi/ 3月 4, 2018/ 小説

 何度も死ねと罵倒した相手が本当に死んだら、君はどんな絶望と悲嘆にくれるのだろうか。愚かしい君は、きっと涙して灰になった俺の身体を掻き抱いてくれるに違

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【イザシズ】化け物の血の色

Hasmi/ 3月 4, 2018/ 小説

 何度かの逢瀬を繰り返し、何度か分からないほどセックスをし、そして何度しても飽きない戦争という名の喧嘩をした。  それは日常のひとつとなり、気付けば無

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【イザシズ】新宿前線

Hasmi/ 3月 4, 2018/ 小説

「シズちゃん、俺達別れよう、」  臨也の事務所に呼び出された午後二時。  秘書の矢霧波江はおらず、着いたばかりの静雄に対して彼は紅茶を淹れながらそんな

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【イザシズ】ツイン

Hasmi/ 3月 4, 2018/ 小説

 折原臨也は常々考えていた、池袋最強の喧嘩人形とも呼ばれる平和島静雄を自分の手の中に落としてしまいたいと思っていたのだ。  来客の予定はなかったので事

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【イザシズ】緩慢なるその変化

Hasmi/ 3月 4, 2018/ 小説

 血潮が滾るというのは、こんなときなのかも知れないと静雄は思った。  それは、宿敵である折原臨也に池袋の裏路地で口付けをされているときで、何でこんなこ

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【イザシズ】二度散る飛沫

Hasmi/ 3月 4, 2018/ 小説

 西新宿の片隅、折原臨也の事務所は既に矢霧波江は退けていたので、好機とばかりに平和島静雄を呼び出していた。何のことはない、毎回と言っていいほど弟の幽ネ

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【イザシズ】63億人の星

Hasmi/ 3月 4, 2018/ 小説

 どうやら、この星には現在六十三億人の人間がいるらしい。  ──らしい、というのは臨也がその目で六十三億人という数を数えたことがないからだ。  そのな

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