【シェオブ】やさしい馨り
そう、それはもうジャンキーの一歩手前だった。 何のジャンキーって、包帯に決まってるじゃないか。 白く、清潔でいて、腕を首を脚を胸を覆ってくれる──エタ
目の前で、ベッドに腰掛けたサーフがアイスクリームを掬う。 白いバニラアイスの上へ、カッターナイフで刻んだチョコレートをふりかけた代物だ。 銀色に反射し
講義が空いたときはヒートの部屋に行く、というのが最近出来た習慣だった。 いつものカフェでスコーンを二個、キッシュ二個、ブレンドとカフェモカ一杯ずつ。
ゼミが終わっても部屋に残っていた彼に背後から近づき、僕は首にかけていた 臙脂色のタイをほどいた。 シュルッという微かな布の掠る音が聞こえたが、彼はそれ
僕に不純物が混ざる瞬間、それはいつなのだろうとぼんやりと日待ちにしていた。 純粋な=スターリング。 イメージの中で混ざるのは決まって赤で、まるでモノク
「好きだよ、」 その言葉は唐突に耳に入った。 下校時刻を過ぎても尚、図書室に残るヒートのすぐ後ろでそれは聞こえ、他にも誰かいたのかと振り向いてしまった
この男と知り合うようになって、よく今まで生きてきたものだと少々の嫌味も含めて疑いたくなるときがある。 それは真っ正直に間違いを訂正しているときだったり
銀色のシンクに放置されたパイナップルが腐りゆく匂いを発していた。 それは甘く、酸っぱく、腐敗というよりは成熟するといった方が正しいのかも知れないと